ページの先頭です


ここからヘッダーです



ここから本文です

INTERVIEW

利用企業の声

「選択肢の中で最もワイルドな道を選ぶ」外資トップが行き着いた理想の仕事環境とは?

DemandSphere株式会社/DemandMarkets株式会社

アジア太平洋・日本地域担当プレジデント

岡本博之 氏

文:上阪 徹  /  編集:丸山香奈枝

グローバルに活躍する方々がどんな価値観を持ち、働く場所や人に何を求めているのか、良い仕事をする要素について、今、勢いのある海外成長企業・国内先端ベンチャー企業にスポットをあてたインタビュー。今回ご登場いただくのは、変化の激しいインターネットマーケティングの世界に身を置くDemandSphereの岡本博之氏その突き抜けた経験について伺った。

デジタルマーケティングの鍵は「見つけられやすさ」

刻々と変化するテクノロジーの世界をめぐる環境。デジタルマーケティングも、個人情報保護関連の法律がデジタル時代に適合するため改正される国が出てくるなど、大きな変化が始まっている。検索エンジンなどのプラットフォーム側も、データの取得や活用方法についての意識を変えてきており、今は有料広告を打っても個人情報を活用した配信の最適化がしにくい状況が起きている。

こうした中、オーガニックマーケティングソリューションという独自のサービスを提供しているのが、米国のSaaS企業、DemandSphereだ。その日本法人が、Global Business Hub Tokyoに入居している。アジア太平洋・日本地域担当プレジデントの岡本博之氏はこう語る。

「消費者のターゲティングや顧客分析が難しくなる中で、どうやって自社の製品や商品を見つけられやすくするか。これがデジタルマーケティングの大きな課題になってきています。私たちはオーガニックと呼んでいますが、自然な流れで検索エンジン上で見つけられやすい環境を作ることが大事になってきているんです。それの実現を支援するためDemandMetricsというSEO SaaSとプロフェッショナルサービスからなるソリューションを提供しています」

SEOの重要性が広がっている今、小手先のやり方は通用しない

デジタルトランスフォーメーションの流れも相まって、デジタルチャネルにおける戦略の見直しとして今、再びSEO(検索エンジン最適化)の重要性が増している。有料広告だけではなく、自社ウェブサイトなど、オーガニックな経路での流入の確保、維持が再認識されてきているのだ。

同社ではSEOに取り組む人たちの仕事の効率化、自動化などを行い、業務に集中できるクラウドのソフトウェアを提供してきたが、最近では新たな変化も見られるという。

今までSEOにニーズをそれほど感じていなかった企業が、その重要性を強く認識し始めているんです。ブランド企業の経営トップからSEOを手伝ってほしいと言われることもあり、これまでのSaaSの提供にとどまらず、事業が包括的なオーガニックマーケティングソリューション全般に広がってきています」

検索エンジンの最適化は、ますます技術への理解と対応が求められるようになってきているという。もはや小手先のやり方では通用しない。“根本治療”が必要だと岡本氏は語る。

「ウェブサイトとしてのソースコードやユーザーインターフェース、サーバーやCDNなどWeb表示速度高速化のためのコンテンツを配信する仕組み等、裏側からしっかり整えなければいけなくなっています。ユーザーが本当に達成したい目標が達成しやすいかどうか、ユーザーエクスペリエンスが問われているんです。そうでないと、ウェブサイトとしての評価は高まっていきません。ですから、“根本”からお手伝いすることが増えてきているんです」

起業家の祖父の影響から若いときは経験に投資しないとダメだと思った

岡本氏は1984年生まれ。2000年代半ばから、外資系のサーチエンジン会社、検索型連動広告会社、日本の検索マーケティング企業に勤務し、デジタルマーケティングの仕事に従事していた。その後、25歳のときにベトナムで起業する。

「米国大使館主催のビジネスプランコンテストに応募したことがあったんですが、そこでのインタビューで、こんなことを聞かれたんです。今までに取った一番のリスクは何でしたか、と。考えてみたら、リスクを取ったことなんてなかった。戦後に起業した祖父の話をよく聞かされていたので、自分も大きなことを為すためには、若いときは経験に投資しないとダメだ、と思ったんです

そして当時の選択肢の中で、最もワイルドな道を選ぶことにした。海外での起業だ。知人の紹介で出資を請け、ベトナムのホーチミンで会社を起こし、ハノイにも展開。その後、3年で事業を売却したが、会社は今も成長を続けているという。

次は自己資本で起業しようとシンガポールにヘッドクォーターを作り、タイで事業を展開。デジタルマーケティングのビジネスを日本にも広げていった。

「そんなとき、東京出張の際、偶然DemandSphere創業者のレイ・グリセルフーバーも東京に来ていることを知り、朝食を一緒にとりました。実は日本の検索マーケティング会社時代、売り込みに来ていたのが創業間もない彼で、その頃から付き合いがありました。10歳年上の起業家の先輩でもあり、いろいろ話をしているうちに意気投合し、私の会社を買収してもらう形で参画することになりました」

場所が変われば人は変わる。コミュニケーションは集う場所でつくられる

当時、DemandSphereには、すでに日本法人があったが、岡本氏はその環境を大きく変えていく。

「自由を重視していたということでしたが、完全フルリモートの会社だったんです。誰も出社してこず、ときどき会議があるだけ。しかも、会議に集まる場所は新宿にあって、とてもカッコイイとは言いがたいところでした」

岡本氏は、完全フルリモートをやめ、毎日必ずオフィスで顔を合わせるよう提案した。社内からは反対の声をもあったが、その重要性を強く感じていたからだ。

「リモートワークが増えてきている時代に逆行しているのかもしれませんが、それではやっぱり組織が作れないと思ったんです。カルチャーも作れない。たしかに個の時代になって、働き方、生き方は変わってきていますが、人は同じ目標を共有する仲間と、一人ではできないことを行うことによって、達成感や充実感、人生の豊かさを感じられるんです。それは、アジアの複数の国で起業して改めて気づいたことでもありました。社会を取り巻く環境が変わりリスクが生じた際などリモートワークを効果的に行えるようにするためにも土台づくりが必要でした」

そして働く場所を変えることは、“遷宮”のようなものだと考えたという。中身は変わらないけれど、入れ物が変わる。会社の環境を大きく変えることで会社を変え、新たな創業期にできるのではないか、と思ったのだ。

「毎日、顔を合わせるから見えてくるものがあるんです。同じ空間を共有するから、表情、服装、息づかい、発する言葉一つひとつの微妙な変化に気づける。それをきちんと受け止めるからこそ、コミュニケーションを最適化することができる。組織の最終的な目標を達成するための活動を、円滑に行うことができるんです」

“遷宮”にあたり、まず選んだのが、大手町というエリアだった。

「エンタープライズ向けに展開することを考えたとき、この場所は理想的な選択ですよね。改めて感じたのは、ここに来るだけで、背筋が伸びることです。もとよりIT企業は、ともすればカジュアル化が行き過ぎることがありますが、場所が変われば人は変わる。意識や服装も変わっていきます。私自身も変わりました。カジュアルであることが変革者としての非言語的メッセージとする企業もあるのでそれを否定しませんが、これを契機に程よい緊張感と規律のある凛とした会社になるように、意識の変革を起こしたかったんです」

Global Business Hub Tokyoは、今も入居中のベンチャーキャピタルに会いに来たことがあり、以前から知っていたのだという。とても印象が良かった。

「タイでもインテリジェントビルのサービスオフィスを借りていましたが、利点は大きいです。小さな会社は、例えばインターネット環境を作る、といったいろんな雑務を結局、トップの人間がやらないといけなくなるんです。そうした雑務がなくなるだけで、どれほど本業に集中できるか。掃除をする必要もないですし、設備も最先端。スタートダッシュをつけるためには、洗練されたサービスオフィスは、どの国で事業を始めるにも有効です」

Global Business Hub Tokyoは、自分たちが目指している会社の形、会社の格を体現できる場所であり、スペースだと感じたと語る。

外資系企業のリーダーが仕事で「情熱、義、愛」を重視する理由

仕事をする上で大事なこととして、情熱、義、愛を挙げる。

「情熱はすべての根源ですが、礼儀や忠義といった義を欠いてはいけないと思っています。お客さまへの義はもちろん、リーダーシップ、フォロワーシップなど上司部下の義も重要。そして、愛情がなければ人材をリソースなどと考えてしまったりする。人は、単なる資源ではないんです

目指している会社を作るために、歴史に学んでいる。とりわけ中国の唐の時代に関心がある。ゴールデンエイジと言われた時代の国づくりとはどのようなものだったのか。とても興味深いという。

最先端のITサービスに取り組む外資のリーダーから出てきたのは、なんともITらしからぬ言葉の数々、だった。異端の経験と歴史からの学びをベースにした理想の会社づくりは、着々と進んでいる。

 

撮影:平山 諭

ここまでが本文です


pageTop